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クジラと捕鯨の企画展

クジラと捕鯨の企画展_c0015810_2373651.jpg国際捕鯨委員会(IWC)の年次会合が24日からセントクリストファー・ネーヴィスのホテルで開会しました。クジラと捕鯨の企画展「The Tale of Whales」は、この年次会合開催を記念して5月18日にオープン。今年の3月からの準備で間に合う程度のとても小さな企画展でしたが、やはり直前となるとかなり大変で、5月に入ってからは週末もまったく休む時間がなく、毎日朝の6~7時から夜の12時過ぎまで働く日々でした。

内容としては、「クジラの生物学」、「クジラと人間の関わり」、「クジラに迫る危機」、「持続可能な捕鯨のための動き」、「子ども達の鯨に関する絵画」、「クジラを体験的に学べるアクティビティー・スペース」です。捕鯨賛成派にも反対派にも偏らないように配慮したつもりです。というよりむしろ、今ある議論は議論としてどちらの側の主張も展示に取り入れるようにしました。企画展については、ラジオ出演や新聞の取材に応じるなどして宣伝に努めましたが、博物館に関する関心の薄さからかやはり現地の人たちの来館はそれほど多くないです(子ども達は学校単位で来てくれます。あとは現地のエリート層の人たちです)。でも、IWC開催期間中ということもあり?外国人の来館者はそれなりに来てくれます。先日は日本政府代表団の方々も来てくださり、「ここの国の政府は日本サイドに付いているが、現地の人々の捕鯨に対する理解度は極めて低い、というよりもむしろ、クジラを食べるなんて可愛そう、信じられないという人がほとんどである」ことなどを伝えると、「会合の方も厳しくなるな」などと仰っていました。今年はついに賛成派の数が反対派の数を凌ぐ勢いで、日本にとっては大切な会合になるのですが、反対派にとってもまた反対の意味で大事な年になりそうです。日本の捕鯨に対する態度は欧米の新聞でかなり槍玉に挙がっています。僕も日本人というだけでこちらの人たちから捕鯨推進派の日本の立場を非難されたり・・・、けっこう大変です。あ~、でも日本人というだけではなく、今回の企画展を主催する立場だから仕方ないのか~。

とにもかくにも懸案の企画展がオープンしたので、ようやく週末を休めるようになりのんびりした日々を過ごしています。でも、収蔵品のカタログ/データベース作りや、スタッフやその他関係者のための博物館学勉強会の開催など、まだまだやらなければならないことが山積しているので、また気合を入れて働きます!

(写真は、厚生大臣〔右〕と観光・スポーツ・文化省文化局長〔左〕によるテープカット)
by saotome_kenji | 2006-05-29 21:59 | 5. セントキッツ博物館
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