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大英博物館のボランティア事業が危機に瀕しています。

と、ちょっと過激な表題にしてみました。

大英博物館には、数ヶ月前までは2種類のボランティア事業があり、それぞれ別部門が担当していました。ひとつは、「アイ・オープナーズ事業」という展示室におけるギャラリー・ガイドのボランティア・プログラムで、学習情報部門のボランティア・プログラム専門職員2人が総轄責任者とそのアシスタントをしていました。もうひとつは、「ハンズ・オン事業」という展示室に置いたテーブルで来館者に博物館収蔵品を実際に触ってもらい、その収蔵品に対する理解を深めてもらうボランティア・プログラムで、大英博物館フレンズという友の会事務局のボランティアの一人が総轄責任者をしていました。

さて、これらのボランティア事業、2つあっても効率的でないとして、博物館のマネージメント側が、それらの統合と統合事業の人事部門への移動を命じました。この決定に、主にアイ・オープナーズのボランティアや学習情報部門職員の多くが反発。理由は、アイ・オープナーズ事業に真摯かつプロフェッショナルなレベルで取り組んできた担当職員2人が首を切られたからです。確かに統合すれば、総轄責任者は一人で良いのは確か。これからは、大英博物館フレンズのボランティアが統合プログラムの総轄責任者を一人でしていくことになります。しかし、問題はそう簡単ではありません。

まず、新しく統合ボランティア事業の総轄責任者になった旧ハンズ・オン事業の総轄責任者は、それまでもこれからもボランティアとしての立場で総轄責任者をするというのです。つまり、一ボランティアが150人ほどのボランティアを総轄することになる。法的に問題があることがひとつ(学習情報部門職員談)。実際にアップアップでまとめ切れてないのがもうひとつ(僕の観察による)。最後に、ボランティアであるその総轄責任者、2事業の統合などに反発していた旧アイ・オープナーズ事業のボランティア2~3人の首を切ったのです。つまり、一ボランティアが別のボランティアの首を切るという、前例のない事態が発生したのです。また、それ以前に2つのまったく違った事業を統合し、慣れないボランティアの人間にすべてを任せようというマネージメント側の決定にも無理があります。でも、その統括責任者はできると言い張り、続けています。

統合後、事前にスケジュールが発表されていたにも関わらずキャンセルになるギャラリー・ガイドなどが続出中。1993年に始まったアイ・オープナーズ事業は大英博物館の教育事業の成功事例であり、今後の一層の発展が期待されていました。これから大英博物館のボランティア・プログラムはどうなってしまうのでしょうか。
by saotome_kenji | 2005-06-21 04:26 | 4. 大英博物館
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